お酒が飲めない
2022/01/25
父は大手印刷会社の営業として日本国中飛び回っていたが、接待ではビールかウイスキーに見立てたお茶で場を繕っていたそうだ。
弟も、飲めない酒を、”練習して”飲めるようになったらしい。
同居していた祖父母も酒は飲まない。だから酒を所望する祖父の友人たちが、正月やら大挙してやってくると、母も祖母も露骨に嫌な顔をして酒食の支度をしていた。
当然私も飲めない。というより、酒が入ると背中や足の裏がかゆくなって、気分が悪くなる。
今までの人生2回ほど、酒とは知らずに飲んで、なんでこんなに具合が悪くなったんだろうと、のたうち回ったことがある。
初めて夫の実家に行ったとき、夕飯時一升瓶の焼酎が水のごとく空いていき、果てしなく続く宴に身のおきどころがなかった。
初めてカーフェリーに乗った疲れもあったのだろう。夕飯始まって2時間後に出てきたカレーライスに眠くて眠くて頭を突っ込みそうになったのを父が見て、「早く布団敷いてやれ」と、やっと解放された。
晩酌のない実家の夕飯は、わずか15分ほどで終わる。
でも酒飲み家に匹敵するようなのが朝食のおかずとして出ていたので、味は知っている。
なまこ、ほや、からすみ、イカのわたやき、ふぐの白焼き、塩辛・・・。
基本、酒以外の好き嫌いはない。
だから、酒飲みの夫との夕飯や外食は、基本なんでも一緒に食べることができる。
でも、お酒の飲める女性は天下無敵のような存在に見えて、憧れる。
「ワインはどこそこのがいいわよね」とか「日本酒はこれに限る」とか言われると
人生の半分を損したような気になるのだ。
でも、知人の酒飲みの男性が、飲んだことで人生の半分を損したような気がする、と発言して
そんな考えもあるのか、とちょっと気持ちがわさわさしなくなった。
うちの夕飯は、写真のように何品も出るが、我が家の畑でつくる”はたけぼら”が主流。
酒豪を自任していた夫の酒量も、70歳を超えたらさすがに落ちてきた。
夫婦ともに健康が保てているのは、野菜たちと、ちょみっと出る魚や肉、
それと夫の食欲をそそるほどの酒類なのかもしれない。