フェルメール『牛乳を注ぐ女』の前に立つ
2007/11/16
六本木の国立新美術館
そこには、アムステルダム国立美術館から海外に出たのは、今までたった5回という”350歳”になる、フェルメールの『牛乳を注ぐ女』が、ちんまりとおいてあります。
6月にこの美術館にモネを見に来たときは、ほとんど人の頭を見ておわった展示会、今回も覚悟していったのですが・・・4時過ぎという、ちょうど人が途切れる時間だったらしく、すすっと入っていけました。
同時に展示されているオランダ風俗画展はふんふんと飛ぶように見て、目指す絵は・・・会場中ほど、ライトの光に浮き上がっていました。
小さい絵でした。35センチX45センチぐらいかな・・・。
日常の静謐のなかから、牛乳をとととととと、と注ぐ音が聞こえてきそうな・・・。
小首をかしげた彼女は、これが終わったら洗濯をしなくちゃと考えているような・・・。
手前におかれている、パンのおいしそうな匂いが流れてきそうな・・・。
上質な絵を見るは、上質な短編小説を読むに値する、といいますが、そう、好きな絵を眺めているときは、私は本を読んでいるような気分なのです。
フェルメールといえば、黄金の値段にも匹敵するラピスラズリと亜麻仁油を混ぜた、ウルトラマリンブルーという青色を自在に駆使した画家として有名ですが、私は、彼の黄色も赤色の使い方も、とても好き。
目をこらしてすみずみまで見つめ、出口まで行ってまた戻ってきて、穴があくほど眺め、後ろ髪惹かれる思いで美術館を後にしました。
これで私が見た本物のフェルメールの絵は5枚目です。
彼が描いたのは30数点、あと何点見ることができるでしょうか・・・。