パワーボートを操縦したい
2007/07/10
今を去ること20年以上前、東京12チャンネルでアメリカのテレビドラマ『マイアミ・バイス』をやっていた。去年だか映画化されたが、その本家本元バージョン。
主演のドン・ジョンソン演ずるソニー・クリケットはおまわりさん。袖をめくり上げ、はだしのところは、亀有派出所の両さんと変わらないのに、マイアミのおまわりさんは頭に”潜入”とつくだけで、アルマーニを着こなし、フェラーリを乗り回し、14インチのテレビの中でパワーボートを自在に操り、もうそりゃそりゃカッコいいのよ。
夕飯食べながら横で一緒に見ている夫に、それを望むべくもなく・・・なんか、あんなカッコいいことに近づきたい、と考えた。
そうだ!あのパワーボートを操縦しよっ!「あのな、あの船でベンツ二台買えるぞ」・・・まっ、それは免許とってから考えることにして・・・
4級船舶の筆記試験は覚えればいいのだからノープロブレム。問題は実技。
実技試験の前に3時間だけ、海上でボートを操船実習がある。
相模川河口での講習。ぶんぶんジェットスキーが走り回っていた。うわさではあのなかに、60歳の元気なおばちゃんがいるそうだ。私もがんばらにゃ!
先生は、子供のころ九十九里浜の地引網で、タオルを頭にまいていた漁師さんにそっくりなおじさん。この人が、怖かった。当然ですが、3時間で操舵を教えようってんだから、そりゃ厳しくなります。
私はのみこみが悪く、海上で静止できず、くるくる。人命救助にいったら、助けなくてはいけない人の頭を船でがつ~ん。接岸もおもいっきりどっか~ん。ロープのもやい結びも、なんだかこんがらかってわからん・・・。
半べそ状態で3時間の講習を終え、船を下りたとき、試験を受けるのやめようと固く決めた。
2度と来るかと帰り支度をしていたら、先生が近づいてきた。「午後、ひとり来なくなったから、あと3時間練習してみないかい?料金はいらないよ」・・・先生の目はがんばれと言っていた。
午後の練習、相変わらず先生の指導は厳しかったけど、午前中よりは、まだ思うように動かせるようになっていた。いけるかもしれない・・・。
講習終わって、スクールの担当が「あの先生は、全世界まわっている優秀な船乗りで、毎日日記を英語で書いているんだよ」・・・私は目が点になった!あの頭にタオルまいているおっちゃんが!人を外見で判断してはいけません・・・。
試験場所は鎌倉海岸。試験官から、ペットボトルが浮いているのは、魚網の印なので、その上は通り抜けないようにとの注意も、すっかりあがって真ん中を堂々と通りぬけましたが、なんとか無事合格!
でも、一回もパワーボートどころかジェットスキーも運転することなく、免許をおととし返上しました・・・。