家に帰らせていただきます

2009/02/23

介護の認定を待っている隣家のおじ。申請から1ヶ月たとうとしているが、まだ結果がこない。

私たちが住んでいる市は、年寄りがどやつといて、毎週水曜日の審査会には、30件とか40件とかの認定をくだすのだそうだ。

待つっきゃないもんね。

おじの痴呆は、この1ヶ月こくこく進んでいるような気がする。

あんなにきれい好きで、朝起きたら、まず敷地の内外を問わず、道を掃く(宮崎弁だと、はわく)。一通り終わったら、新聞を取って来て、神様や仏様にあげるお茶やご飯のしたくをする。それから自分の朝食。

天気のいい昼間は、庭の剪定や草むしり、畑の世話で日がな暮らす。冬といえども、宮崎は緑は豊か。

・・・という一日のルーティーンが、まったくなくなった。ただ、無気力にこたつに入っているか、もの探しをしているか。

1週間ほど前から、おかしな行動がはじまった。

「家に帰らせていただきます」と、帽子をかぶり、靴をはいて、とことこ家を出て行ってしまう。隣(といっても田舎なのでけっこう距離があるが)の家のあたりまできて、たぶん自分がどこにいるのだか、わからなくなるのだろう。ぼーっとたっている。たまたま通り掛かった人がいると、連れて帰ってきてくれる。

それが、毎日。

「なんで自分ちってわからんごつ、なったっちゃろ?」と実の妹あらんだまばーちゃんはじめおばたちは、首をかしげる。

「おとっさんやおっかさんの写真見せても、自分ちって納得せんよ」

といいつつも、嫁に行って以来、農業を働きづめに働いてきて、実家に帰ることもできなかったおばも泊りにきて、兄弟そろって、仲良く食卓をかこんでいる。

「こんなときがくるなんて、夢にも思わなかったね」

おじの介護が、思わぬ幸せな副産物を生んだようだ。でも、肝心のおじは、ばーちゃん以外の3人の妹たちが誰だかわからない。

「妹はおるが、そんげばーさんはおらんど」・・・やれやれ・・・