お嬢さんに手紙を書いたら?
2010/01/14
夫と二人、東海道線を鈍行でとことこ下る、心地いい旅。
目的地は、静岡にあるがんセンター。
日本有数の施設に入院している、大学の同級生を訪ねる。
10年前、奥さんを肺がんで亡くし、今また自分が同じ病気で長くないという。
ほんとうは、どんな顔をして会い、どんな話をしたらいいか、電車に揺られながら、ずーっと考えていたのだ。
おみやげも、考えて考えて、宮崎の焼酎。
夫は後輩である彼が元気になって、また飲めよといいたいのだけど、洒落にならないか、と気にしてる。
・・・そして、20数年ぶりの再会。
大学時代から付き合いだして、30年以上たつ私たちを、しきりとうらやましがっていた。
「でもね、私たちにない、お子さんがいるじゃないの」
彼は寂しく笑い、頑固おやじに愛想尽かして、一人娘は出て行った、という。
「そうなの・・・」
あなたの苦しみを推し量ることなんか、到底できないけど・・・
お嬢さんに手紙を書いたら?
こどものときのこと。
奥さんとの出会い、デート、プロポーズ、婚約、結婚、赤ちゃんが生まれたときの幸福感。
剣道をはじめたこと。
大学生活、就職。
学校の先生になって、生徒たちになにを教えたかったのか。
そんな諸々や、娘に対する溢れる思いを、毎日つづったら?
ひとりぼっちになるお嬢さんの生きる支えに、絶対なるよ。
あなたの娘だったこと、彼女は誇りに思うよ。
この日の青い空、私は生涯忘れない。