東京諸聖徒教会
2011/11/30
と、どしゃぶりの中、ワイパーフル作動で車を運転していた弟が、夫と私に言った。
地元であったはずの東京文京区のどこかを走っているんだろうけど、あまりに変わってしまって、おのぼりさんよろしく、外をぼーっと眺めているしかない。
狭い道を幾筋も通り抜け、(こんなに東京の道って狭かったっけ)
「見おぼえない?」
と指差した先に、雨に曇る十字架が見えた。
東京諸聖徒教会
弟と私が通った幼稚園の教会。
あのころと変わらぬ外観をしているというのは、金がないからか、文化財にでもなったのか・・・
「行ってみようよ」
中は、クリスマスの準備中だった。
私が入園したのは、3年保育の9月。
途中からだから、当然私だけが新入生。
いきなり薄暗い礼拝堂に連れてこられ、讃美歌が流れる中、冷たい木の椅子に座らされた。
正面を見ると、ものすごく恐ろしいものが、目に飛び込んできた!
木にぶらさがった痩せこけたおじさん!
次の瞬間、
わ~んっ!
泣き声は、礼拝堂の中をこだまし、ますます私に襲い掛かり、恐怖が倍増され、
わ~んっ!わ~んっ!
母はみっともないと叱り、担任の先生はなだめても、
わ~んっ!わ~んっ!わ~んっ!
とうとうつまみだされてしまった・・・
という4歳の記憶を、弟と夫に話したら、半世紀前の”現場”で、大笑い。
木にぶらさがった痩せこけたおじさん、
じゃなくて、キリスト様(失礼いたしました)は、ミニチュアのようなのが、ぽつんと置いてあった。
これなら、怖くないね・・・