中村紘子ピアノリサイタルに行く

2011/01/07

中村紘子さんの生演奏を最後に聴いたのは、もう25年ぐらい前になる。
「女性のための女性による音楽会」と銘打ち、客は女性のみ、オーケストラ全員が女性、指揮者も松尾葉子さん、ピアノコンチェルトの奏者はもちろん中村さん、曲目は「シェーラザード」が入っていて、まさしく女性一色!
それからの年月、私にとって彼女は”作家の中村紘子”であり続けた。
12月26日のピアノリサイタルは、5月に口蹄疫で延期したののリベンジ。
一緒に行ったふうちゃんは、クリスマスケーキの製造販売で12月は激務をこなし、半徹夜が続いていたから、とろとろ寝ちゃうんじゃないかな、とちょっと心配だけど・・・。
席は正面やや右より。演奏する手は見えないけど、左隣が通路だから、まあまあ良く見える。
ふたりで、わくわくどきどきしながら座る。
見渡すと、年配の男性の多いことよ。”あこがれの紘子さん”だった世代か。
今日の9曲は、デビューした50年前!のプログラムと同じじゃげな。
ますます貫禄めした紘子さんが、さっそうと登場。
最初の曲のスカルラティは、よく知らない曲なので、すーと聞き流し、
2曲目のベートーベン悲愴・・・第2楽章は、甘ったるくないのだ。
そうだ!彼女は、さばけたというか、堂々とというか、凛という弾き方をする人だったけ。
普通のピアニストが弾く音の層の間に、さらに薄い音の層をいくつも作り、それがぱーっと飛び散って、大きな構成の曲と成す人だったわ。
シューマン謝肉祭あたりで、だんだん彼女の醍醐味を、思いだしてきた。
ショパンのバラード第1番にいたっては、まるでハリー・ポッターを全巻、早巻きして読んでいるかのよう。
心の奥深くの哀しみ、人をあこがれる気持ち、いじわる、大空を自分のものにしたような高揚感、時が止まったかのような不気味な静けさ・・・
心地よさに、身をゆだねていたとき、ふと思い出した。
「ふうちゃん、紘子さんの弾き方、ピアノ弾きのお手本だから、よ~くみて覚えるんだよ」
ふうちゃんは、今ピアノに、はまっている。
「わかった。ちょっと眠かったけど、ひとつ思いだしちゃったの」
「なに?」
「月末にひとつ支払いが残ってた」
「・・・・・・」
現実に引き戻されないよう、聞かなかったことにして、アンコール4曲!まで楽しめた、素敵なリサイタルでした。
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