菊の枕
2009/11/16
おりょうさんが竜馬のために、寺田屋のお登勢さんが丹精込めてつくった菊を全部切って、枕を作るというシーン。
幕末の闇に飲み込まれていく竜馬に、というより、読者に、つかの間の休息が与えられたようなくだりだ。
高校生の私は、菊の香りがやすらきや清涼感をもたらすなんて、到底信じがたく、
菊イコール仏壇の花、だったから、竜馬の死を暗示しているのだろうか、といらぬ深読みをしていた。
けさ庭の片隅に、あざやかな黄色が見えた。
近寄ってみると、小菊がわんさか。
顔を近づけてみると、”和”の装いにふさわしい、清楚な香りがする。
35年以上もたって、なぜあの場面にあの情景を司馬さんが持ってきたのか、少し解ったような気がした・・・。