告知
2007/03/29
舅のすい臓ガンがわかったときは、すでに末期だった。医者は子供たちには告げたが、本人と姑には内緒にすることにした。一心同体の夫婦なので、もし姑に告げたら、ふたりとも崩れてしまうことを懸念したからだ。
「じーちゃんは肺気腫が悪くなってきているのと、胃がね、よくないんだって。だからしばらく入院してくださいって」・・・舅は本で自分の症状を調べたらしいが、なんせ太陽のような自分の女房が「な~におっしゃるんですかっ!」と元気よく全否定するのだから、それ以上言わず、毎日、ふたり手を握り合って病室で過ごしていたという。
葬儀場の控え室で、姑は「あんた、じーちゃんがガンだって知ってたの?」と私の目をじっと見つめ聞いた。まわりに誰もいなかった。「うん」「・・・ありがとね、知らせてくれなくって。もし知ってしまったら、私がんばれなかったわ・・・」・・・嘘をずーっと突き通してきたこと、正しかった・・・。