さざれ石の巌となりて
2010/12/02
よもや、日向灘にむかって、ろうろうと「君が代」を歌う羽目になるとは、夢にも思っていなかった。
市から助成金が出て、年に1回”婦人の為になるところ”に行かないといけない。
婦人部長・副部長を務めるかよちゃんと私が、紆余曲折の末決めた今年の旅行は、日向方面。
メインは大御(おおみ)神社。
大御神社の神主さんの話は、抱腹絶倒、楽しいよ、といううわさを聞いたので、それを”為になるところ”とした。
以前ひとりで、ぷらーっときたときは、大海原のきわにたつ神社が、不思議な地形にかこまえているな、ぐらいの認識だった。
「君が代の歌詞の内容は、みなさん御存じですかな?」
表情豊か、声量ある神主さんの声は、潮騒にも負けない。
そう言われ、子供のころ、君が代は食べ物の歌、だと思い込んでいた私は、ちょっと緊張する。
「文字通り(歌詞通り)さざれ石が巌となったのが、あのしめ縄の張ってあるところなのです」
神主さんが指差す方向は、子供の私が想像していた『さざえ』も『岩のように固いおこし』もなく、でーんと岩が鎮座していた。
「石ころに、地下火山の力が加わり、あのような巌となって、苔が生すほど長い年月を経てきているのです」
子供私が想像していた『ふかふかの蒸し菓子』も存在するわけがない。
「ではみなさん、今やパワースポットとして有名になった、あのさざれ石のところに参りましょう」
天気でよかった。足が痛いの、腰が痛いののおばさんたちが歩いて行くんだから。
「この石にみなさん、ぜひ触れてくださいね。有名な歌手の○○○さんも来られました」
宝くじには効果あるのか?賽銭の額で左右されるのか?・・・などなど頭をめぐらしていたら
「みなさん、せっかくですから、ここで海に向かって君が代を唱和いたしましょう」
有無を言わさず、いちにのさん、で歌い始めた。
私のおつむに、君が代は、食べ物の歌ではなく、大君の世が、平和で幾千万年も続きますようにという願いを込めた歌だということが、半世紀生きて、ようやく鮮明に焼きついた。
それを更に揺るがぬものにしたのが、さざれ石御守とさざれ石お菓子。
菊の御紋はついてる。しめ縄の巌に、苔まで蒸してる。
やるなあ、大御神社・・・