お手々つないでお買い物

2007/08/30
兄 先日、めでたく82歳の誕生日を迎えた姑あらんだまばーちゃんと、隣家に住むおじは、ふたつ違いの兄妹。9人兄弟の長兄、長女だ。
小学校に上がる前、つまり今から80年近く前、町にお砂糖を買いに、二人で行かされました。
ぞうりをはいて、着物着て、なかよく手をつないで、子供の足だと30分ぐらいのところにある乾物屋さんに買いにいきました。
帰り道、お砂糖をかかえたおにいちゃんに、妹は言いました。
「ちょっと、疲れたから休んでいかない?」
やさしいおにいちゃんは、近くにあった倒れた木に、ハンカチをしいて、妹を座らせました。
「ちょっとだけ、味見をしてみようか」
という妹を、だめだめ家に帰ってから、と引き止めることもせず、
「そうだね」と、ふたりで、ちょみっとだけ、お砂糖をなめました。
おいしかったので、もうちょみっとだけ、なめました。疲れていたので、もうちょみっとだけ、なめました。
・・・気がついたら、もう少ししか残っていません。
妹 「帰ろ」と、妹は勢いよく立ち上がりました。
おにいちゃんは、なんと言い訳しようと家まで、ずーっと考えながら歩いていました。
「ただいまあ」妹が元気よく家に入りました。
「おかえりい」お母さんが出迎え、お砂糖の包みを見てびっくり!
「食べたね!」怖い顔してにらむおかあさんに、妹は
「あんちゃんが、ちょっとだけ味見しようかっていったの!」
おにいちゃんは、たいそうおかあさんに怒られました。でも、妹が食べよといいだしたとは、決していわなかったそうです。
妹は小学校にあがって、親戚の家に養女に出されましたが、今も仲のいい、働き者の兄妹です。