声で表現する

2011/05/17

テレビに耳だけ傾けていると、光景や人となりが、あざやかに浮かび上がるほど、うまい”声”に出くわすことがある。
ナレーション、外国ドラマの吹き替え、演技、なんでも。
最近、特にうまいなあ、と思ったのが、俳優の山口祐一郎さん。
劇団四季出身で、歌もうまいし、姿もしびれる。
高い低い、早く遅く、厳しくやわらかく・・・次は、どういう声で表現するの?と思わず、家事を手を止めて、聞き入った。
すると・・・そうきたか、と意表をつかれるような言い回しに、思わず「うまいっ!」(役柄はともかく)
ふと思い出した。
20代のころ、新宿のテント小屋でやっていたミュージカル「キャッツ」を、マチネで見に行ったことがある。
劇が終わり、俳優さんたちが舞台からおりてきて、観客と握手を次々しはじめた。
私のところにも、背の高い、しなやかで、りりしいネコがやってきた。
彼は、ほほえみながら、わたしの手をにぎりしめた。
細く長い指。ネコの肉球のように、暖かで柔らかな手のひらの感触。
私の理性が一瞬、宇宙のかなたに飛んで行ってしまった。
そのネコこそ、若かりし山口祐一郎氏。
ウィキペディアで経歴を見たら、同じ年じゃないの。
同じ時代を生きてきたんだ、とわかったら、円熟みを増す彼の声が、ますます聞きたくなった。