小曽根真、宮崎でクラシックを弾く

2007/05/14
DSCF0983.jpg 小曽根真 ジャズピアニスト
私の覚えている彼は、少年と青年の間の時期、ほそっとしていてちょっと神経質そう。でも勝気そうな目は、鍵盤の前に座ると、楽しくて楽しくてならないといったふうに輝いていた。
我が家のピアノの調律師さんがなにげなく「去年、宮崎国際音楽祭に小曽根さんが見えてモーツアルトを弾いたら、終盤はクラシックがジャズになっていました」というではないの!これは聞きにいかにゃ!
宮崎では、毎年GWあたりから音楽祭が開かれ、今年で12回目となる。かのバイオリンの巨匠アイザック・スターン氏をお招きして、室内楽を中心に演奏会を始めたのがきっかけだったが、スターン氏没後も、”進化した”演奏会を披露し続けている。
この地で開かれる音楽会や演劇のメリットの第一番は、ホールのよさもさることながら、チケットが安い。頭に1か2が抜けてやしませんか?といいたくなるほど、すばらしい演奏や芸能が格安で味わえる。もっとも、たまにしか来ないが・・・。
『新たなる境地へ~世界の小曽根真、室内楽に挑む!』と称した演目はベートーベンのピアノ三重奏とモーツアルトのピアノ四重奏。ごくごく普通のクラシックのコンサートが始まった。
・・・しばらくすると、楽譜には”絶対”ありえない不協和音やパッセージや崩れたリズムが、ちらっちらっと顔をのぞかせはじめた。それにヴァイオリンの徳永二男さんやアン・アキコ・マイヤースさんが楽しそうに音を重ねていく。
・・・そのうち、曲の流れが堂々と時空を越えて18世紀のヨーロッパと現代のニューヨークとを行き来しだす・・・。
天国のベートーベンやモーツアルトがどう聞いたかわからないが、拍手は鳴り止まなかった。
アンコールは小曽根さんとマイヤースさん演奏の『スマイル』。クラシックとはうって変わった甘く切ない調べに思わず涙がこぼれた・・・。
ステキな演奏を心からありがとう。また来年も宮崎にいらしてください。