こけ
2008/05/31
昨夜のNHKの番組『美の壷』のテーマは苔。
苔寺や盆栽に、幽玄の世界を感じるのは、"苔のありよう"
それで思い出した。
今でこそ、苔のある庭は、風情があると思えるが、
4、5歳のころ、家の庭にびっしりはびこる苔を見て、つるっとすべるし、なんか汚らしいからキレイにしなくっちゃと思い立ち、一日かけて、ちっちゃいスコップで、せっせせっせと剥いで、庭の隅に積み上げた。
夕方、庭を見た祖父は仰天!
丹精込めて、長い年月かけて、はえさせていた苔だったのだろう。
誰がやったんだっ!と、ゆげが立つほど怒っている顔は覚えている。
その視線は母から私に・・・とたんに、表情がゆるんだ。
というより、怒るに怒れない、といった困惑した目に変わった。
次の瞬間、怒りが祖父から母に移り、
「なんでそんなことしたのっ!謝りなさいっ!」
どかんと雷が落ちた。
その声に、赤ん坊の弟はけたたましく泣き出し、
誉めてもらえると思っていたのに叱られた私は、ひっくひっくと泣きながら謝まり、
そこに、ままままと祖母と父が間に割って入って・・・
それからのことは覚えていない。
でも、翌日、庭はもとのとおりになっていた。
苔は、じけじけしたところを好むと思っていたが、太陽のさんさんと降りそそぐ光と水分が必須だそうだ。
太陽と水が大好きなのは、芝生も雑草の同じ。
我が家の庭、三者共存。
というより、苔が一番負けてる。
幽玄の世界には程遠い、ほったらかしの世界が存在している・・・。