かわだのおかず
物価があれよあれよと上がっていくこのご時世、主婦は、新聞に織り込まれてくるチラシとにらめっこして、今日はこっちのスーパーがあっちより安いから、と奮闘努力しているであろう。
私のスーパー選択の基準は、事務所から近くて、夜遅くまでやっているところ。ちょみっとの値段の差は許す!
めがねにかなったのは「かわだ」
事務所から歩いて3分ほど。こじんまりしている。
このスーパーの目玉は(たぶん)おそうざい。100グラム157円で、プラスチックの容器に自由にとれる。その種類は、毎日30は下らないだろう。日替わりの汁類やご飯類も楽しみ。
なにより、味付けがじつにおいしい。
だからか、昼前はお年寄り、昼時はOLや会社員、夕方は主婦、夜はちょんがーのおじさんたち、でごったがえし、閉店のころは、みごとにさばけている。
売り子のおじさんが、またうまい。
「きょうはてんぷら、おいしくあがっているよお。おうちでてんぷらするとたいへんでしょう」
「新米がおいしく焚けたよ。おいしすぎてメタボにならない程度に、つめてね」
「おいしいつみれ汁ができたよお。1杯150円。おいしくてほっぺたがおちそうだよ」
「できたてのクリームシチューは、暑いときだからこそ、ふーふー言って食べるとおいしいよ」
「カレーがあるよ。夏ばてしないように栄養つけてね」
ここの野菜、肉、魚がつねに鮮度の高いものがおいてあるのは、惣菜でさばけるからだろうし、新鮮であれば、野菜や肉、魚も当然売れ行きがいい。
マンゴーなど宮崎の特産の果物を、おつかいものとして地方発送しても、送った先から、みごとなものをありがとう、と喜ばれる。
店員さんたちは、みな笑顔でてきぱき、仕事をこなしている。
こじんまりしているから、大量の仕入れはいらない。
お年寄りの買い物客には、おうちに車で荷物を運ぶサービスもある。
「かわだ」は市内に何店舗かあったが、ここを除いて、みななくなった。
企業が生き残る戦略を、このスーパーは体現していると、買ってきたお昼ごはんを食べながら思うのだ。