木喰五智館
2008/04/27
なんて読むのか、いったいなんなのか、初めてこの文字を見たときはわからなかった。
もくじき、と読む。
江戸時代、米穀をたち、木の実や野菜を食して、全国行脚したお坊さんのこと。
たいしたもの食べていないのに、92歳まで長生きをした。
そして、暖かい微笑をたたえた仏像を製作し、各地に残した。
今年の1月から3月にかけて、福岡市博物館で『木喰展』が開催されていたが、いけなかった。
本物の彫像を見てみたい、とずーっと思い続けていたら、なんと、私の住む西都市のお寺に、住職として9年もおりやったげな!
どこよ?と探したら、車で7、8分ぐらいで行ける日向国分寺。
今は跡しかない。
「木喰五智館」が建てられ、今なお、木喰上人が彫られた5体の如来さまが鎮座しているという。
行ってみました。
国分寺は奈良時代に各地の国府の近くに建てられはじめ、この日向国分寺は8世紀半ばに建立という。
しかし、今は礎を残すだけ。
この変遷をみつめてきたであろう、いちょうの巨木が若葉を湛えていた。
まだ、木の香りのする「木喰五智館」に一歩足を踏み入れると
足がすくんだ。
坐像とはいえ、3メートルはあるだろうか、重量感のある仏像がずらりと並んでいる。
あたりは誰もいない。
「おまえはだれだあ」と声が聞こえたような気がした。
勇気を出して、正面の大日如来の前にきて一礼し、顔をあげると、
左右がアンバランス。
眉毛はみごとな三日月型。
大きなまぶたをとじ、
お鼻はで~んとすわっている。
めくりあがった厚いくちびる、
福々したお耳。
やわらかい肩のライン。
衣のドレープは繊細。
手の表情が美しい。
これが木喰の「微笑仏」か・・・。
はじめは圧倒されたが、どことなく愛嬌のある面立ちに、思わず笑ってしまった。
右隣は阿弥陀如来と釈迦如来、左隣は薬師如来と宝生如来
如来さまがた、ふっふと肩で笑っているように見えた。
災害にも戦災にもあわず、よくぞまあ、ご無事で。