見守る目

2008/01/11
子供のころ、飽きずになんどもなんども読んだ本に『さようなら松葉杖』(リトン作)がある。
アメリカのお話。小児麻痺で施設に入っていた女の子が、小学校高学年になって家に戻ってくる。
それまでは、同じような障害を持った子供たちや、お世話を焼いて下さる人のもとで、わいわい楽しい日々を送っていた。
家に帰ってきた初日、自分のベッドの上にあった着替えの服をみて、呆然とする。
自分ひとりで着替えなんて無理よ。お母さんはどっかにいっちゃうし、どうしたらいいの・・・。
涙にくれていたら、お母さんが部屋に入ってきた。
「よく見てみたの?」
不自由な手で服を広げてみたら、お母さんは、彼女が着易いようにぼたんもない、すてきなのを作ってくれていた。
そして、彼女が着替えるのを、ただだまって手伝うこともなく、そばでみていてた・・・。
そのシーンの挿絵があったわけではないのに、小首をかしげ、手をかしてやりたい気持ちをぐっとこらえ、辛抱強く、しかし温かく見守っている母親のイメージが、今でも脳裏に焼きついている。
1年前、くも膜下出血で手術し入院している姉は、マンツーマンのリハビリのおかげで、介助があれば、歩行器を使って歩くことが、少しずつできるようになってきた。
彼女のリハビリはそろそろ新しい段階に入ってきたらしい。
「やらせるのではなく、本人のやる気で、身体能力を回復させる」
まわりにいる私たちは、それを辛抱強く、しかし温かく見守っていくのが務めだ・・・。