湯かんを初めて見る
2018/11/15
19歳で農家もやっている家に嫁ぎ、舅姑夫の兄弟4人と暮らし、40年前にご主人を亡くしたが4人の子供をお勤めしながら育て上げ、晩年は畑でみごとな野菜を作って方々にさしあげているという、天に宝を積み続けてきたような人生を歩んでこられた。
私には畑をやる上で大切なことを教えてくださった。「畑に出るときは、長袖長ズボン帽子手袋を必ず着用すること」
お通夜の昼間、姑と家にお伺いしたら、ちょうど湯かんが始まるところだった。看護師さんのような制服を着た女性がふたりで、おけを用意し、台を敷き、二人係でご遺体を載せて、頭を洗い、お顔をそり、体を洗っていく。お化粧をして、用意されたしつけ糸も取っていない着物をきせ、脚絆をつけ・・・納棺士というのはこういうことをする人のことか、と手際のよさに、涙も忘れて感心して見ていた。
夫と私は、死に装束は結婚式で着た服と決めている。姑に聞いたら決めてない。裸でもいいけど、お墓だけは自分が決めたところにいれてね、という。
姑の友達はどんどんいなくなって、その寂しさはいかばかりか。彼女をなぐさめることばは見つからない。