おこしんさま

2007/07/26
おこしんさま おこしんさまとは、たぶん『御庚申さま』ではないかと思うのだが・・・田んぼの神様と聞いた。
田舎には自然のなかで、いろいろなものを信仰する風習があるが、そのひとつ。
うちの地域の8世帯が2ヶ月でもちわまって、おこしんさまを家に招く。
昨日から2ヶ月は隣家のおじおばの家。夕方、おこしんさまを前の”宿”からもらいうけて、床の間にかざる。
夜7時過ぎ、メンバーが尋ねてくる。昔は、朝から、寿司や煮豆、酢の物、煮付け、吸い物などを作って、来る人たちをもてなしたというが、今は近所の料理屋から、ちょっと豪華版のし出し弁当をとる。
私たち夫婦は関係ないのだが、隣家が”宿”になるときは、お手伝いで参加する。
そこで出る話はおもしろい。今年の稲の状態。老人介護の苦労話。漬物の作り方。どこそかさんちに嫁女が来た話。台風の被害。のらの子猫が神様にあげるご飯を食べた話。むじなが県道を徘徊していた!話。近くの池で鴨が卵を抱いている話・・・。あっちこっちに話が飛ぶ。
純粋な地域特有のことばでしゃべっているので、以前はなんのことやら全くついていけなかったが、最近は耳の遠いおじさん同士の会話の”通訳”ができるまで”腕”を上げた。
今年隣家のおじは84歳。耳も遠くなり、目も見えにくくなった。ひとの話を理解するのも、なかなか難儀なこともある。しかし、家には盆と正月ぐらいしか大勢の人が来なくなったので、この集まり、ほんとうにうれしそうだった。
”のめのめ”と、それが彼の唯一のおもてなしだが、だれかれかまわず、焼酎をすすめる。車で来たから飲めないといっても、怖い顔をして勧める。おばの顔をうかがいつつ、焼酎をすする。そんなに酔っ払ったら危ないと焼酎を隠したら、自分の”秘蔵の品”を、ちどり足で持ってきた。
次に”宿”が回ってくるのは、1年4ヶ月先。元気でいてくれるかなあ・・・。