図工の教科書

2009/08/29
小学校5年生ぐらいだったか、給食の時間、図工の教科書に、牛乳を思いっきりこぼした。
ランドセルで圧迫されたせいか、家に帰ったら、ページ同士がべっとりくっついて、使い物にならない状態になっていた。
いうまでもなく、母に叱られた。
で、彼女が何をしたかというと、べりべりっと破いたのだ!!
「なにすんのっ!」と飛び掛ったが、無残な教科書は、もう元には戻らない。
翌日の放課後、校門で下校を待っていた母は、「ほら、さっさと歩きなさいっ!」と昨夜の”しでかしたこと”なんかなかったかのように、とっとと歩き出した。
ふてくさってついていくと、図工の教科書の販売会社に到着。
ゴミ箱行きになっていると思っていた、例のべりべりの教科書を、手提げ袋の中から取り出し、
「娘がこんなにしてしまって・・・」
と言うじゃないの!
なにいってんの!私は牛乳をかけただけだ!と抗議しようと口を開きかけたのをぐっと睨まれ、応対に出たおじさんには、にこやかな表情で
「1冊、譲っていただけませんか?」
前置きが長くなったが、その教科書に出ていた絵の本物を、宮崎県立美術館で見た。
『こどもたちに残したい名画』と副題のついた展覧会。
福岡県久留米市にある石橋美術館に所蔵されている名画が、陳列されていた。
岸田劉生の麗子像
藤島武二の天平の面影
黒田清輝の針仕事
青木繁の海の幸、わだつみのいろこの宮
佐伯祐三の靴屋
藤田嗣治の人形を抱く子供
などなど
あ~これかあ~と懐かしく思ったが、突如鮮明によみがえったのが、冒頭の話。
母はきっと覚えていないだろうなあ・・・
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