お魚の値段と夏休みの宿題

2008/07/18
夫の焼酎のさかなに、刺身はかかせない。
宮崎は、安くて新鮮なお魚が手に入る。
それは、漁師さんたちのおかげ。
ほんと、ありがたいことです。
なのに、重油の高騰で操業ができないという。
なんとも気の毒な・・・
おそるおそるスーパーに行ったら、たまげるほど値段が上がっているわけではなかった。
刺身ひとパック買っても、なんの足しにもならないでしょうが・・・。
小学校のとき、夏休みの宿題で、魚の値段を毎日調べる、というのを出された。
本を読んで感想文とか、日記を書く、ドリル1冊やりとげる、とかは得意なのだが、
『毎日ひとりで魚屋さんに、買いもしないで行って、値段をメモしてくる』
これほどつらい宿題があろうか!
母は、なじみの魚屋さんの奥さんに話をしてくれた。
あとは行くだけ。
小学生の夏休みの一日は長い。
たらたら過ごしていると、夕方。
「今日はおさかな?」と聞くと
お肉、とつれない返事がかえってくる。
「なんかお魚のおかずにしようよ」というと
ぐずぐずしていないで、早く値段調べてきなさい、
とお金も持たされないで、メモ用紙と鉛筆だけで家をおん出される。
夕方だから、買い物籠下げた奥さんたちが、たくさん店先で魚を吟味している。
その間をぬって、遠慮がちに、背伸びをしたり、しゃがんだりして、魚の名前と値段をメモする。
「何してるの」と声をかけてくるおばさんもいて、
この魚の名前は違うよ、と教えてくれる。
全部書き終わって、魚屋のおくさんにぺこんと頭をさげたら、
濡れた手を前掛けで拭きながら近寄ってきて、「どれ、みせてごらん」とチェック。
「今日はね、仕入れでこの魚が高かったのよ。これは安かったから買って行く人たくさんいたよね」なんて、お客さんたくさんいるのに、にこにこしながら相手をしてくれる。
なんにも買わないのが申し訳なくて、商売のじゃまをしているようでつらくて、早く帰りたくて、なま返事して、飛ぶように家に戻ってきた。
それが毎日。
3日にいっぺんぐらい魚を買ってきて、と母に頼まれる。
そのときは、ほっとして、おちついてメモできる。
今日が最後という日、母がつきそった。
「よくがんばったね。魚のなまえ、たくさん覚えたね」
魚屋のおじさんまで出てきて、ねぎらってくれた。
母は、びっくりするくらいりっぱな刺身の盛り合わせを買った。
2学期提出した魚の値段調べの宿題、
棒グラフにしたら、魚の値段だけでなく、日によって入るものが違うこと、天候にもよること、いろいろな料理方法があること、
たくさんのことを学んでいた・・・。