父逝く

2011/11/25
「パパが10日から具合が急に悪くなって、いろいろ手を尽くしているんだけど、よくないのよ」
と東京の母から電話が来たのが、17日木曜日の午後3時ごろ。
とりあえず、片付けられることを済ませて、なんとか翌金曜日の昼ごろの便に乗る手筈を整えた。
なのに、
せっかちが服着て、つんのめって歩いているような父は、私の到着も待たずに逝ってしまった。
”人事を尽くして天命を待つ”って言葉知ってるか?
おまえは人事を尽くしたのか?
と、子供のころから事あるごとに言われてきた私に、心残りは、ない。
不肖の娘じゃないもの。
強いて言えば、「11月はふたり(夫と私)で上京して来い。ママと4人で銀座のフランス料理屋に飯を食いに行こう」というのができなかったこと、ぐらいだ。
大正13年生まれの父は、出征したが、外地に送られる前に終戦で命拾いをした。
がつがつ働いたサラリーマン時代は、ほとんど家にいなかった。
葬儀に来てくださったかつての部下の人たちは、今は父の遊び仲間で、退職してから具合が悪くなる直前まで、お参りに行ったり、うなぎ食べに行ったり、デパート廻りをしていたそうだ。楽しい話が聞けて、泣き笑いの葬式になってしまった。
盡誠院道光成覚居士
気絶するほど高い戒名だったけど、曲がったことが大嫌い、家族思いの父らしい名前だと思う。
またひとり、ほんものの東京っ子が消えた・・・